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ホーム > しんきん経済レポート >2008年No.06 ピアノ生産の推移

ピアノ生産の推移

静岡県楽器製造協会の調査によると県内における平成19年に生産されたピアノ台数は前年比1.2%減の127,445台であった。ピアノの生産数量は昭和50年代半ばにピークを迎えた。その後は家庭へのピアノの普及が一巡したこと、少子化の進展、安価で高性能なデジタル楽器が登場したこと等により平成14年まで生産数量の減少が続いた。平成15年以降は、輸出が順調に推移していること、地元大手メーカーがピアノのモデルチェンジを行い需要を喚起することによって国内販売の減少に歯止めがかかったこと、で生産数量の減少傾向が止まり、平成18年、19年は年間12万台の生産数量を保ち横ばい状態が続いている。

ピアノ生産量が伸び悩むなか、地元大手メーカーは生産コスト削減、技術レベルの向上、技術の伝承を主な目的としてピアノ生産機能の集約を図ろうとしている。河合楽器は2009年3月までに竜洋工場にピアノの全工程を揃え、ヤマハは2010年中に現在アップライト(縦型)を生産している掛川工場にグランド(平型)生産を移管させ生産機能を集約させる予定。浜松市でのピアノ生産数量はこれら大手メーカーの動向により今後大きく落ちこむ。たとえピアノメーカーの本社機能が浜松市に残るとしても生産機能が浜松市外に移転してしまえば「楽器の町浜松」としてブランドが薄れてしまいかねない。

一方、浜松市は音楽を中核にした都市づくりのテーマを具現化するイベントとして、「浜松国際ピアノコンクール」を1991年から3年毎に開催、1992年より毎年6月に「浜松ジャズウイーク」を開催している。上記イベントを中心に官民一体となって「音楽の町浜松」を中核としたブランド認知を図る必要性もあると考えられる。

図:ピアノ生産数量の推移

出所 静岡県楽器製造協会資料を基に、しんきん経済研究所作成

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