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ホーム > しんきん経済レポート > 2009年No.09 浜松市の製造業事業所数の動向

浜松市の製造業事業所数の動向

浜松市は輸出型輸送用機械産業を中心とした製造業が盛んな地域である。しかし過去20年間の製造業における事業所数の推移を工業統計調査(従業者数4人以上)で見てみると、減少傾向を示しており、平成19年の事業所数は昭和63年の6割程度にまで落ち込んでいる。

事業所減少の要因として後継者の不在や、経営者の高齢化に伴い事業の継続が困難になったことによる廃業、経営の効率化のために事業所を集約化したこと新規の開業が減ったことなどが挙げられる。減少する事業所の多くは中小零細企業であるが、この中小零細企業は地域経済にとって毛細血管としての役割を担うほか、地域の「ものづくり」における技術伝承の場としても欠かすことのできない存在である。

昨年秋以降、大手企業の急激な生産調整に伴い生産量が減少し、当地域の製造業も主力である輸送用機器産業を中心に苦戦を強いられている。だが中小企業にとって厳しい経営環境が続く中、中小企業が雇用の受け皿として果たす役割も大きい。当研究所が今年3月に中小企業を対象に行った特別調査『平成20年度の決算状況、今後の人員対応』でも製造業の58%が現状の人員は維持すると回答しており、厳しい経済情勢の中でも雇用を維持しようとする姿が窺える。

地域経済の持続的発展のためには中小製造業の存在は不可欠であり、企業を取り巻く外部環境だけでなく、事業承継などの企業内部の課題に対するサポートについての取り組みも必要になろう。

グラフ:事業所数の推移(浜松市にある製造業)

出所:「工業統計調査」よりしんきん経済研究所作成。事業所数は浜松市合併修正後の数値。

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