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ホーム > しんきん経済レポート > 2010年No.15 新規高等学校卒業者の就職状況

新規高等学校卒業者の就職状況

ハローワーク浜松管内の高校卒業予定者の就職状況がピンチだ。
グラフは左目盛に各年度の年度始めの高校生の就職希望者数と、6月末時点の企業の求人数を採り、右目盛に6月末時点の求人倍率を採っている。

就職希望者数は毎年ほぼ横ばい、2,000人前後で推移している。これに対して求人数は、前年度から大きく落ち込んできている。これは平成20年度中(平成20年秋)に発生したリーマンショックの影響が大きく、求人側が雇用を抑制していることが原因。これに伴い求人倍率も大きく悪化している。就職希望者はほぼ一定であることから、求人倍率の悪化は、求人数の減少によるところが大きいのである。

求人倍率は大きく悪化した平成21年度でも6月時点で0.53倍であり、本年度の0.42倍を上回っていた。平成21年度は最終的に1.30倍となり、就職希望者1 人に対してかろうじて求人が1件はあった計算になっている。本年度については、昨年末から製造業の生産量が増加傾向を示す中での、前年6月時点を下回る求人数、求人倍率となっており関係者の危惧は計り知れない。

高校卒業者の就職難は、一般の雇用情勢の悪化と分けて考える必要があるだろう。高校生は社会経験が乏しく、進学も就職もできないとなると、即、当人の生活環境の悪化に繋がる可能性が高いからだ。
不況の直中、生活を維持するための非正規労働といっても、条件が芳しくないものが多いのではないだろうか。そういった生活環境のすぐ隣には非道徳な環境、犯罪が潜んでいないとも言い切れず、翻って、我々、地域住民の生活環境にもめぐり巡って影響を及ぼす。

また、地域経済を支え発展させてきた我々の先達が脈々と受け継いできた伝承の技、倫理、こういったものは人と触れ、交流することによって伝承される。師弟関係が無くなった現在、職場がこれらの伝承の大きな部分を担っている。若年層の雇用の安定は、地域の安定にも繋がっている。
市内の教育関係者がこの現状に対し「真摯に勉学に勤しんできた若者。彼らに就職先を与えられないという現実。我々教育者は彼らに対して我々の教育方針が間違っていたと土下座をして詫びなければならないのではないか」と語った。本年度末にはこの情勢が一変することを切に願う。

グラフ:うなぎのかば焼き消費額(上位5市と全国平均)
ハローワーク浜松の資料を基に当研究所作成

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