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ホーム > しんきん経済レポート > 2010年No.21 スズキの自動車輸出台数と円ドル為替相場

スズキの自動車輸出台数と円ドル為替相場

夏場以降、円ドルの為替相場が急激に円高ドル安方向に振れている。円高ドル安が進むと、同じ商品を買う場合、ドルで支払う側の金額が大きくなることから、輸出企業にとっては不利な経済環境となる。国内自動車総生産台数の1/4を輸出しているスズキ。円ドル相場の動向が地域経済に与える影響も大きなものとなる。円高ドル安進行でスズキの輸出台数に変化は見られるだろうか?

下表は、スズキの4半期毎の自動車の輸出台数を棒グラフで左目盛に表し、円ドル為替相場の3、6、9、12月の4半期毎の終値を折線グラフで右目盛に表している。円ドル為替相場は、最高値※の1995年から表し、折線が下に行けば行くほど円高ドル安となっていることを表している。

スズキの輸出台数は1995年からリーマンショック発生時の2008年9月期まで台数を伸ばしている。この間の円ドル為替相場は、史上最高値を付けた後、1ドル140円まで一旦下げた後、リーマンショック発生時の2008年10月まで1ドル100円を割ることはなく、1ドル100円から125円前後を行ったり来たりしている。スズキは、100円以上の安定した円ドル為替水準で、徐々に輸出台数を伸ばし、2005年からリーマンショックまで大きく輸出台数を伸ばしている。2008年9月以降、円高ドル安の進展に比例して、輸出台数も大きく落ち込んでいるが、これは円高ドル安の進展の影響というより、リーマンショックによる世界的需要減退と見るのが妥当であろう。その後、円高ドル安は更に進展しているが、2009年6月期を底に回復基調をたどり、1ドル80円台の現時点でも、100円以上の為替水準時の輸出台数に回復している。

グラフからはスズキは急激な円高ドル安進展下においても、国内の輸出生産台数は維持しているように見える。しかし、競争力維持の為、スズキに限らず、長期的に見れば、輸送機器メーカーの海外生産比率の上昇は避けられないだろう。ここにきて円高進展に落ち着きが見られ始めている。仮に為替相場の反転が見られたとしても、浜松地域内の輸送機器業界企業の経営改善は継続していく必要があるだろう。

グラフ:スズキの自動車輸出台数と円ドル為替相場
※:円ドル為替相場の史上最高値1 ドル79 円75 銭1995 年4 月19 日

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