リサーチニュース リサーチニュース

ホーム > しんきん経済レポート > 2011年No.7 震災直後の消費行動

震災直後の消費行動

東日本大震災直後は、浜松においても生活必需品の買いだめや自粛ムードによる消費控えなど、例年にはない消費行動がみられた。下のグラフは、浜松市の家計調査結果(2 人以上の世帯)から、震災の影響を受けたと思われる品目を選び出し、例年3 月(2008〜2010 年の平均)と今年3 月の消費支出を比較したもの。数値が0%なら例年と同じ金額の支出となり、プラスなら例年よりも多い支出、マイナスなら少ない支出となる。

まず、被災地を支援しようとする行動がみられたため、「寄付金」が例年と比較して230.0%増(3.3倍)と大幅に増加している。ただし、金額は1 世帯当たり791 円で全国の2,089 円を大幅に下回った。
買いだめで目立ったのは、「電池」「ミネラルウォーター」。浜松市は、停電の影響や水道水の心配もなかったため、冷静に考えれば買い急ぐ必要はなかったはずだが、品不足に陥った。これらの商品は、あわてて購入するのではなく、震災対策として常日頃から備えておきたい。「米」「パン」は、一時的に品不足となったが、3 月を通してみれば消費支出にあまり変化はみられなかった。

一方、「入場・観覧・ゲーム代」「飲酒代」「パック旅行費」「宿泊料」といった品目は、自粛ムードの影響を受け、消費支出が大きく落ち込んだ。未曾有の大災害であったため、震災直後の自粛ムードはやむを得なかったかも知れない。しかし、過度な自粛は、逆に復興の足かせになってしまう。4 月以降は、自粛から応援ムードへのマインド変化がみられるようになり、「ハレ」の消費も回復しつつある。

グラフ:中小企業が考えていた震災時の対策
出所 総務省「家計調査」より、しんきん経済研究所作成

しんきん経済レポート一覧へ