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貸家の新設着工、減少が続く

 静岡県がまとめた新設住宅着工統計によると、2011年度に浜松市で新たに造られた貸家は1420 戸であり、前年度に比べて773戸、35%の大幅減少となった。リーマンショック以降、4年連続で前年割れが続いており、減少に歯止めがかからない。東日本大震災による影響もあると思われるが、11年度の戸数は07年度の4,188戸と比べて3 分の1 の水準にまで落ち込んだ。
 貸家は景気に大きく左右されやすい。昨今の厳しい雇用情勢や所得環境により入居も鈍る。オーナーも不透明な景気の先行きから着工を躊躇する。また、既存物件についても築年数の経過とともに入居率が次第に低下、空室解消のために家賃を下げざるを得ないという悪循環に陥っている。こうした市場環境の下で、大金を投じて新たな賃貸住宅を建設するのに二の足を踏むのは当然のことといえる。
 さらに、今後は人口減少社会となる。2010年国勢調査で浜松市も人口減少へと転じた。今後も人口減少は続くであろう。人口減少、労働力減少、経済縮小等、こうした市場環境を背景に、これからの賃貸経営は難しい舵取りが求められている。

新設着工戸数

本稿は6月21日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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