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値上がりが続く「うなぎのかば焼き」

 うなぎのかば焼きの値上がりが続いている。総務省が公表している消費者物価指数(2010 年=100)によると、「うなぎかば焼き」の値段は、2010 年半ばごろから上がり始め、2012 年に入ってからは値上がりペースが加速している。かば焼きに限らず、飲食店やコンビニエンスストアの「うな重・うな丼」の値上げも相次いでいる。デフレが続き、全体の消費者物価指数(総合)がほぼ横ばいで推移しているのと対照的な動きとなっている。
 要因は養殖に用いる稚魚(シラスウナギ)の不漁が続いているため。つまり、需要が増加し値上がりしているのではなく、仕入値が上昇しているため、やむを得ず値上がりしている状況にある。うなぎは電気料金、ガソリン代金のような必需品ではないため、このまま値上がりが続くようだと消費が急減する懸念がある。浜松市にとってうなぎは、家庭でのうなぎのかば焼き消費量が全国一(総務省家計調査)であることに加え、重要な観光資源となっているため、住民生活や地域経済に与える影響は大きい。
 うなぎ産品の価格を安定させるため、うなぎの完全養殖に期待がかかる。しかし、稚魚の生態は未だ謎のところが多く、研究ベースでは成功しているものの、完全養殖されたうなぎが大量生産され、食卓に並ぶのは当分先になる模様。中長期的な対策とは別に、現在の消費を喚起するための対策も必要となる。
 例えば、うなぎ料理店では使用するうなぎを無駄なくカットするこで、原価の値上げ分を極力抑え、販売価格をできるだけ上げない工夫をしている。持ち帰り専門店でも、うなぎ以外の地域商品との詰め合わせでできるだけ予算に合わせた商品を提案しているなど、苦しい環境下においても企業家精神を発揮している。

業況DIの推移

本稿は7月5日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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