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浜松市の製造品出荷額等と全国順位

 下の図は、浜松市の製造品出荷額等の推移と全国順位(東京特別都区部含む)を表したもの。まず、製造品 出荷額等の推移を示した棒グラフをみてみる。浜松市の製造品出荷額等は00 年代前半、2 兆5〜7 千億円程度 で推移していた。その後、リーマン・ショック前までは旺盛な輸出に支えられ、ピーク時の07 年には3 兆2,257 億円に達した。しかし、リーマン・ショックを境に外部環境が激変。直近のデータである10 年の製造品出荷 額等は2 兆146 億円まで落ち込んでいる。ピーク時からの減少幅は37.5%、00 年代前半と比較しても20〜25% 減少している。棒グラフだけをみると、「リーマン・ショック以降、製造業が苦戦したのは日本全体の問題。 浜松の製造品出荷額等が落ち込んでいるのはやむを得ない」と思われるかも知れない。

 しかし、浜松市の製造品出荷額等の全国順位を示した折れ線グラフをみると、浜松市はリーマン・ショック 以降の落ち込みが特に大きいことがわかる。00 年〜リーマン・ショック前まで浜松市の全国順位は9〜10 位の 間で推移していた。ちなみにリーマン・ショック前の数年間、浜松市の製造品出荷額等は急増しているが、全 国順位は9 位のまま変わっていない。しかし、リーマン・ショック後は徐々に順位を落とし直近データでは17 位となっている。全国に700 以上の市がある中で、17 位というのは立派な順位。ただ、人口や小売業年間商品 販売額も17 位(東京特別都区部含む)。「ものづくりのまち浜松」を名乗るにはやや寂しい順位である。

 このような状況下、浜松市では昨年「はままつ産業イノベーション構想」をまとめた。既存産業を高度化す るとともに、健康・医療産業、環境・エネルギー産業など6つの産業を新たなリーディング産業として位置付 け、重点的に支援をしてく方針を定めている。浜松市にはこれまで幾度となく訪れた危機を乗り越えて、新た な産業を生み出しながら発展してきたものづくりの歴史がある。必ずやリーマン・ショック以降の厳しい外部 環境を乗り越え、発展していくに違いない。

浜松市の製造品出荷額等と全国順位の推移

本稿は9月20日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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