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為替相場と地域経済
昨年末から超円高の是正が進んでいる。円高の是正は浜松地域経済にどのような影響を与えるのだろうか。
下の図は、中小企業に対し円高の影響についてたずねた調査結果。調査時期が2010年末とやや古い点を考慮
する必要があるが、円高の影響について「悪い影響の方が大きい」(61.9%)が「良い影響の方が大きい」(5.6%)
を大きく上回っている。業種別にみると、二輪車部品、自動車部品は「悪い影響の方が大きい」の回答割合が
特に高い。親企業が海外生産比率を高めると、国内での受注が減少してしまうという懸念があるようだ。円高
の影響を直接受けないと思われる業種においても、「悪い影響の方が大きい」が「良い影響の方が大きい」を
上回っている。円安には輸入物価の上昇や外国人旅行客の減少といったデメリットもあるものの、輸出型製造
業が集積する浜松地域の場合、円安は景気にとってプラス要因といえよう。
もっとも円安になったからといって、製造業に国内回帰の動きがみられる可能性は低い。過去は海外生産シ
フトが進んでいったとはいえ、「高付加価値製品は国内、労働集約的な仕事は海外へ」という棲み分けができ
ていた。しかし近年は、市場が拡大する国で生産する「地産地消」が主流になりつつある。
よって、さらに円安が進んでも、地元企業の海外生産は拡大していくだろう。そのため浜松市も来年度から
中小企業の海外進出を支援する事業をスタートさせる。ただし海外生産を拡大させるには、国内の基盤がしっ
かりとしていることが大前提。浜松地域が技術革新や世界生産の中核拠点となり、企業が世界に羽ばたくこと
により、地元も活性化するような成長戦略が求められる。
本稿は3月7日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。