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浜松市内の空き家

総務省「住宅・土地統計調査」(平成20 年)によると、浜松市内には住宅が325,310 戸あり、うち空き家は30,290 戸(空き家率9.3%)となっている。空き家数を区別にみると、中区が最も多い(ただし中区は住宅総数も多い)。空き家率は天竜区が19.5%と突出して高く、5 戸に1 戸が空き家となっている。浜北区は空き家数、空室率とも最も低い。

区ごとの特徴をみると、旧浜松市だけで構成されている中区、東区、南区は賃貸用住宅の空き家が多い。天竜区はその他の住宅(主に居住者の転居や死亡などで空き家になっている住宅)の空き家が多いなど、地域によって状況は異なるようだ。北区は二次的住宅の空き家が他の区と比較して多いが、二次的住宅とは別荘など普段は人が住んでいない住宅のことで狭義の空き家とは異なる。

浜松市内の世帯数は未だ増加しているとはいえ、人口は減少に転じている。ライフスタイルや家族構成の変化により、住宅市場のミスマッチも生じており、空き家は今後も増加していくものと思われる。空き家が増えると、景観の悪化、不法投棄・放火・空き巣の誘発など様々な問題が生じ、さらに空き家が増えるという負の循環に陥ってしまう懸念がある。

空き家の問題は所有者の利害も絡み簡単に解決できる問題ではない。そのため国会では、自民党が空き家対策法案を議員提出しようと動き出し、浜松市も、区役所への空き家対策相談窓口の設置や、空き家対策の条例化検討を始めるなど空き家対策に本腰を入れ始めた。民間でも、老朽住宅のリノベーション(大規模改修により価値を高める)という新たなビジネスが芽生え始めている。空き家対策は、行政による制度整備と、そこのビジネスチャンスを見出そうとする民間の積極的な活動の両輪が必要だ。

グラフ:浜松市の空き家件数と空き家率
総務省「平成20 年住宅・土地統計調査」をもとに作成

本稿は11 月21 日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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