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浜松市内の空き家

総務省「住宅・土地統計調査」(2013年10月調査)によると、浜松市内には空き家は49,200戸あり、住宅総数(353,900戸)に占める空き家の割合は13.9%となった。5年前の前回調査と比較すると、空き家は約19,000戸、空き家率は4.6 ポイント増加している。空き家の増加は全国共通の問題で、統計発表直後は「空き家率過去最高」と新聞紙面を賑わしていた。だだ、全国の結果をみると、空き家率は13.1%から13.5%と増加幅は0.4ポイントと小幅にとどまっており、浜松市の空き家急増が目立つ。

空き家は大きく「賃貸用の住宅」「その他の住宅(長期不在の住宅等)」「二次的住宅(別荘等)」「売却用の住宅」の4つに分類され、うち「賃貸用の住宅」「その他の住宅」が空き家の大半を占めている。浜松市の内訳をみると、「賃貸用の住宅」(16,520→32,000)、「その他の住宅」(10,340→14,700)とも増加しているが、特に「賃貸用の住宅」は空き家が倍増しており、空き家率を押し上げている。

所有者が明確な「賃貸用の住宅」は、家賃を下げる等の対策で、空き家を減らすことが可能だが、リーマンショック以降の産業構造の変化により、賃貸物件の需給バランスが崩れ、供給過多になっている可能性がある。さらに深刻なのは、「その他の住宅」の空き家。人口減少や相続した実家を放置したままにするなどの事情で、老朽化した空き家がますます増えていくものと思われる。

都心部、郊外住宅地、山間地域それぞれの空き家問題を抱える浜松市は、“空き家問題の縮図都市”といえる。現在、全国各地で、強制的に空き家を撤去できる条例の制定、空き家を流動化させるための空き家バンクの創設などの取り組みがバラバラに行われているが、浜松市が空き家対策モデル都市」となるような様々な空き家対策を先進的に行い、効果のあった対策を全国に水平展開してはいかがだろうか?

グラフ:浜松市内の空き家率

本稿は9月4日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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