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政令指定都市別の東証一部上場企業本社数

政府は「地方創生」を実現させるため、東京から地方に本社機能を移した企業に対して税制面での優遇を行う制度の創設を検討している。東京一極集中を是正し、地方の人口流出に歯止めをかけるのが狙いのようだ。特に、東京証券取引所一部に上場しているような大企業の本社機能が地方に移転すれば、雇用創出効果が大きいことに加え、企業からの税収増が期待できるなど地方創生の目玉となろう。そのため、吉田町のように「(制度を)積極的に活用し企業を誘致したい」(1月10日静岡新聞)と考える自治体もでてきた。現状では、東証一部上場企業の約半分の企業が、東京に本社があるほか、約8割が3大都市圏に立地しているなど、地方に本社がある大企業は限られている。

浜松市に本社がある東証一部上場企業は10社。3大都市圏を除いた政令指定都市の中では、福岡市、札幌市に次いで3番目に多く、仙台市、広島市といった人口100万人超のブロック拠点都市をも上回っている。製造業に限ってみれば、浜松市には8社の本社が立地しており、比較対象都市の中では最も多い。リーマンショック以降、浜松市の製造業は製造品出荷額等が低迷し、海外現地生産の進展、新産業の創出等多くの課題を抱えているが、他都市からみれば「贅沢な悩み」なのかも知れない。

冒頭の、本社機能移転に対する税制優遇に話を戻すと、東京が企業活動を行う上でメリットの大きい都市だからこそ、多くの大企業が東京に本社を置いているのであり、税制優遇があるからといって地方に移転しようと考える企業は少ないと思われる。浜松市に本社のある東証一部上場企業の大半は、浜松で創業し成長していった企業である。横並びの誘致合戦に参入するのではなく、起業促進、イノベーション支援など企業活動を行いやすい土壌を整備し、未来の大企業を育てていくことが重要だ。

政令指定都市の東証一部上場企業本社数(3大都市圏除く)

資料:東京証券取引所ホームページ等をもとにしんきん経済研究所作成

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