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毎年上がる最低賃金 今年度は885円に

2019年11月7日

最低賃金とは、国が賃金の最低額を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度で、地域別最低賃金は都道府県ごとに定められている。本コラムで最低賃金を取り上げるのは、3年連続。前年と比較して大きな変化がなければ改めて取り上げる必要はないが、静岡県の最低賃金は、ここ数年間は毎年25円前後の大幅な上昇が続いており、毎年取り上げざるを得ない状況になっている。今年も、昨年比27円引き上げられ、最低賃金は885円となった。

最低賃金の引き上げは従業員からみると収入増が期待できる一方、企業からみるとコスト増要因となる。最低賃金が600円台だった頃は、最低賃金は文字通り“最低の時間給”であり、実際の求人時給イコール最低賃金の企業は少なかった。ところが、手元にあるアルバイト求人情報誌をみてみると、現在の最低賃金付近で募集している企業は少なからずある。これら企業は時給引き上げが必須となるし、今後も最低賃金が引き上げられるたびに賃上げが必要となろう。一方、数年前までは800〜900円程度が相場と思われていた職種で、1,000円を超える時給を提示している募集も目立つようになってきた。人手不足が恒常化するなか、最低賃金と関係なく、時給を引き上げざるを得ない状況がうかがえる。

企業の利益は単純化すれば「売上」から「費用」を引いたもの。安売り競争で成長してきた企業の中には低賃金の従業員がいつでも雇える前提で成り立っていたところも多い。しかし、時代は変わった。人件費は費用ではなく、価値を生み出す源泉と捉える発想が必要だ。

図表:浜松市の全国順位(製造品出荷額等、粗付加価値額)
出所 静岡労働局資料をもとにしんきん経済研究所作成。19年度は10月4日に発効

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