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新型コロナと製造業の経営上の問題点

2020年7月16日

しんきん経済研究所が行っている景気動向調査において、たった1年弱で中小企業を取り巻く経営環境が激変していることが読み取れる。下図は、調査対象の中小製造業者が抱えている経営上の問題点に関する質問の回答割合を、2019年3月調査2020年6月直近調査までの推移でグラフ化したものである。経営上の問題点の中心が、「人手不足」から「売上の停滞・減少」に移っているのがうかがえる。

2019年3月は、「人手不足」が経営上の問題点のトップ項目であった。自動車製造業が製造業全般を牽引していたころであり、特に自動車や機械の人手不足感が強かった。浜松の有効求人倍率も2018年12月が1.86とピークであり、人手不足感が高まっていたことを裏付けている。

2020年6月の経営上の問題点は、「売上の停滞・減少」がダントツのトップ項目となった。一方、「人手不足」は後退し、有効求人倍率も5月は0.95 に低下した。2019年には、米中貿易摩擦の激化、地元自動車メーカーの検査対応による減産、消費増税などにより、景況感が悪化していたが、2020年に入って新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけたのである。新型コロナウイルスの影響により、サプライチェーンの寸断で海外からの部品の納入が滞り、国内工場を断続的に停止したり、稼働率を下げたりしたことが響いている。それにより、受注がダウン、売上の減少が続いているのである。

新型コロナウイルスに対処するために、ヒトの流れを止める必要があるが、売上を回復させるためには、ヒトの流れを活性化させる必要がある。新型コロナウイルスへの対応と売上の回復はトレードオフの関係にある。ゆえに、新型コロナウイルスの影響が長期化した場合、さらなる売上減少が懸念される。中小製造業は、当面の資金繰りをしながら、経費節減、販路の拡大等を同時に行っていかなくてはならない。今こそ、社内の知恵と技術を出し合い、リーマンショックに匹敵するこのコロナショックを乗り越えていきたいものである。

図表  景況レポートの資料をもとにしんきん経済研究所作成
出所:しんきん経済研究所

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