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放課後児童会待機児童の解消

2024年4月18日

4月に入り新学期がスタートした。待機児童というと、「保育園」がまず頭に浮かぶ家庭が多いと思われるが、実は「学童保育」にも待機児童がいる。「学童保育」とは、両親が共働きなどの理由で、放課後子供への対応ができない家庭の小学生(1年生から6年生)を預かる事業であり、浜松市では公設の「学童保育」のことを『放課後児童会』という名称で呼んでいる。

浜松市ホームページ(学校教育部教育総務課)によると、放課後児童会の登録児童数は年々増加しており、2023年度は 7,233人であった。増加の背景には、核家族化や女性の就業率の上昇、子供を取り巻く環境の変化などがあると考えられる。一方、放課後児童会の待機児童数は、2020年度の495人をピークに減少しており、2023年度は190人であった。これは、浜松市が学校の余裕教室や特別教室などの活用や専門施設を整備し、放課後児童会の定員拡大を図り頑張ってきた成果である。 さらに、190人の内訳をみると、区別では約7割を中央区が占め、学年別では3年生以上が約9割を占めている。区別は、区の再編があったため、中央区に集中したものと思われる。学年別では、3年生以上に多くの待機児童がいるのは、学年が上がるにつれて選考の基準となる基礎点が減り、勤務条件が同じ場合は低学年が優先されるためである。

今後は待機児童数を解消することも大事だが、次の3つの視点も大切になる。1つ目は、より行政・地域・自治会・学校・企業が連携した環境づくりが必要である。行政だけだと限界があり、周辺関連機関の協力が大切である。2つ目は多様なニーズに対応するための、民間活力の導入も視野に入れた放課後の子供の居場所づくりが必要である。現在、放課後児童会は、公設の施設が中心であるが、浜松市の基準を満たした民間運営の放課後児童クラブを増やすのも一案である。3つ目は人材確保である。施設の増加に伴い、指導員の先生方も人手不足となっている。指導員の先生方は、子供たちにとってまるで地域の「家族」のような存在である。指導員の先生方の地道な努力が、子育て世代が安心して働くことができる環境を整え、引いては浜松経済の下支えをしていることを忘れてはならない。

図表 浜松市放課後児童会の待機児童数の推移
出所:浜松市HP(学校教育部教育総務課・5月1日現在)をもとにしんきん経済研究所加工作成

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