2021年12月24日
−カーボンニュートラルに関するアンケート調査結果−
取組済みは16.3%、1年以内の取組必要性は 38.8%、製造業では半数超
しんきん経済研究所では、今後の CO2削減目標を踏まえ、県西部地域の中小企業を対象に「カーボン ニュートラルに関するアンケート調査」を行い、この度、調査結果をまとめましたので、結果報告いたします。
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1.調査概要
調査対象 カーボンニュートラルに関するアンケート調査
調査対象 静岡県西部地域の法人企業 2,746 社 (回答数 196 社、回答率 7.1%)
調査方法 メール配信によるアンケート調査
調査時期 2021年12月6日〜15日
回答企業の属性
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2.調査結果要旨
・CO2排出量の把握は、「把握している」が15.3%と、現時点では二割未満。
・カーボンニュートラルの取組割合は16.3%、取組予定と併せた『取組済み+取組予定』は34.2%となり、3社に1社が取組意向あり。
・取組済み+取組予定の上位2項目は、節約に関連する項目。3番目に多い「高効率・省エネな施設や設備の導入」や4番目の「環境に配慮した電気への切替」については製造業や建設業で回答割合が高い。
・取り組んでいない理由は、「何をすればいいか分からない」が73.6%と最多。
・親会社からの調査依頼や要請は、「要請がある」が6.1%と、調査全体では1割に満たないものの、従業員数が多いほど要請の割合は高い。
・1年以内の自社での取組の必要性は「必要」が38.8%。なかでも、製造業では50.6%と、半数超。
・ビジネスチャンスが「あると思う」は30.1%。
・取り組めていない理由やビジネスチャンスの意向等の回答結果を踏まえ、当研究所では今後、追跡調査や関連セミナーを実施していく。- 本件のお問い合わせ先 -
一般財団法人 しんきん経済研究所
担当 神谷 TEL 053-452-1510 浜松市中央区東伊場2-7-1 浜松商工会議所5階
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3.調査結果
■CO2排出量の把握について
CO2排出量の把握については、調査全体では「把握している」が15.3%、「把握していない」が84.7%となった。
業種別にみると、CO2排出量を「把握している」は建設業の20.0%が最も多く、次いで製造業の16.1%であった。
■カーボンニュートラルに向けた取組状況について
カーボンニュートラルに取り組んでいる割合は調査全体で16.3%となり、取組予定と併せた『取組済みもしくは取組予定』は34.2%となり、3社に1社が取組意向にある。
業種別にみると、「取り組んでいる」割合はサービス・その他が19.2%と最も高く、次いで建設業の16.0%となった。
「取組予定」とする業種は製造業が24.1%、建設業が24.0%となり、他の業種と比べて高い。
■取組済み、取組予定のカーボンニュートラルに向けた項目
取組済みもしくは取組予定の項目は、調査全体では「電気、ガソリン、ガス等の使用量削減」が67.2%と最も高く、次いで「廃棄物の削減やリサイクル」の55.2%となり、上位2項目については節約に関連する項目となった。
業種別にみても卸・小売業を除く業種で「電気、ガソリン、ガス等の使用量削減」が最も多い取組項目となった。調査全体において第3番目に多い「高効率・省エネな施設や設備の導入」や第4番目の「環境に配慮した電気への切り替え」については製造業や建設業で回答割合が高くなっている。「環境に配慮した商品・材料・サービスの購入」についてはサービス・その他が50.0%、「環境に配慮した商品・製品・サービスの開発、販売」については卸・小売が33.3%と業種別で最も高い。
■取組んでいない理由
取り組んでいない理由は、調査全体では「何をすればいいか分からない」が73.6%と最も多く、他の理由と比べても極めて高い。業種別にみても、全ての業種で最も高い回答割合となった。
製造業においては、「親会社を含む取引先からの要請がない」が取り組んでいない理由の第2番目となり、41.5%を占めた。製造業では「費用が掛かる」も28.3%と他業種と比べて高く、カーボンニュートラルに向けた取組をより現実的に捉えているものと考えられる。当研究所ではこのような回答結果のもと、カーボンニュートラルについてのセミナーを今後実施していきたいと考えている。
■CO2の排出量調査や排出量削減の要請について
調査全体では「要請がある」が6.1%、「要請がない」が93.9%となり、現状の要請は1割に満たない。
業種別でみると、「要請がある」は製造業が10.3%と最も高く、次いで建設業が8.0%となった。
従業員数別でみると、101人以上が19.2%と最も高い。従業員数が多いほど、「要請がある」割合が高いことが分かる。
■1年以内の自社でのカーボンニュートラルの取組の必要性
調査全体では「必要だと思う」が38.8%、「まだ必要とは思わない」が61.2%となった。前段の取組状況の設問と比べると、取組が近々のうちに必要であるとの認識が強いものとうかがえる。
業種別にみると、サービス・その他を除き「必要だと思う」が4割を超える。なかでも製造業では50.6%と、半数超を占める回答結果となった。
■カーボンニュートラルに対するビジネスチャンスについて
ビジネスチャンスが「あると思う」が調査全体で30.1%となり、「ないと思う」の17.9%を上回った。
業種別でみると、「あると思う」の割合は卸・小売業が59.4%と最も高く、次いで建設業の36.0%となった。前段の取組の必要性についての設問で最も高い製造業は、逆に本問では20.7%と最も低い回答結果となった。