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ホーム > しんきん経済レポート > 2010年No.6 10万台を割り込んだピアノ生産台数

10万台を割り込んだピアノ生産台数

静岡県楽器製造協会のまとめによると、平成21年における県内でのピアノ生産台数は平成20年に比べ41,375台減少の93,390台となり、昭和37年以来、47年ぶりに10万台を割り込んだ。ピアノの生産は昭和50年代半ばまで増加傾向が続き、ピークの昭和55年には年間39万台が生産されていた。その後、生産台数の減少が続き、平成5年に生産台数が20万台を割り込み、ピーク時の2分の1以下にまで低下。最近は10万台の生産を維持していたものの、リーマン・ショック以降の景気低迷により、昨年の生産台数が対前年比、3割の落ち込みとなった。

ピアノの生産が減少している要因として、アップライトピアノ製造の海外シフトが進んでいることや、家庭へのピアノの普及が一巡したこと、安価・省スペースで演奏を楽しめる電子楽器の普及などが挙げられる。さらにピアノは自動車や家電のような買い替え需要が見込めず、エコポイントのような需要喚起策もない。このように成熟した国内市場で各メーカーは、音楽教室事業の充実、新製品の開発などで新たな需要を掘り起こそうとしているが、消費の多様化、また個人所得が伸び悩む現在、国内での需要増は一筋縄ではいかない。

ピアノは国内生産のほぼ100%が県西部地域で生産される。ピアノを製造するには他の楽器に比べ、鉄工、鋳造、木工、塗装、表面処理など数多くの技術が必要とされる。今後、国内でのピアノ生産が伸び悩む中、中小のピアノ部品関連製造業は、ピアノ製造で培った技術を活用し、新分野へ進出することも一つの方策であろう。

グラフ:ピアノ生産台数

出所:静岡県楽器製造協会
本稿は3月18日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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