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持続性のある観光振興を

浜松市にとって2017年は直虎に始まり、直虎に終わった「直虎イヤー」となった。大河ドラマ館に は約78万人もの人が訪れ、舘山寺の宿泊客も前年を約4万人上回る47万人となった。その他、直虎関連のお土産品やドラマ舞台・浜松駅周辺の飲食店なども直虎効果で潤ったことだろう。

下のグラフは、三遠南信地域に本店のある9つの信用金庫がそれぞれの地域の住民に直虎の認知度についてたずねたアンケートの結果である。グラフを見ると直虎の認知度は遠州地域が約95%、東三河地域が約90%、南信州地域約80%と非常に高いものとなっている。ただその内訳をみると、放送決定前(2015年8月以前)から直虎を知っていた人は、遠州地域約30%、東三河・南信州地域約20%と少数で、放送決定後に初めて直虎を知った人が多い(筆者も井伊家が当地発祥とは知っていたが、直虎のことは知らなかった)。

浜松に大きな経済効果をもたらした大河ドラマが終了して1カ月。過去の例をみるとドラマ放映の翌年、観光客が400万人減った地域もあり、当地域も反動減が懸念される(しんきん経済レポート2017 年17号参照)。反動減になる要因を挙げればきりがないが、そもそも大河ドラマがなければ直虎の知名度は低いままだったのだから、新たな観光資源が発掘されたと前向きに捉える必要がある。○○博覧会や国際スポーツ大会のような大型イベントならば、一過性のブームで終わる可能性は高いが、大河ドラマから生まれた観光資源はこれからも活かせるし、さらに大きくすることもできる。将来、2017年を振り返り、「一過性のブームだった」と振り返るか、「大河ドラマが観光都市浜松の起爆剤となった」と振り返るかは、地元の意気込み次第といえよう。

出所:三遠南信しんきんサミット資料
出所:三遠南信しんきんサミット資料

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