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北区シフトが進む浜松の製造業

今春、工業統計調査(速報)が発表され、長らく静岡県内でトップだった浜松市の製造品出荷額等が、静岡市を下回って2位になったことが新聞・テレビ等でセンセーショナルに伝えられた。市町村ランキングの影に隠れて目立った報道がされていないが、浜松市の区別ランキングも大きな変動があり、北区が中区を上回りトップとなった。

過去の推移をみてみると、2010年から14年にかけては、中区は5,000億円台で、北区は3,000億円前後で推移しており、両区の間に2,000億円以上の差があった。ところが、2015年は両区の差が縮小、2016年に初めて北区が中区を上回った。

2014年以降の折れ線グラフをみると、北区の増加ペースは緩やかで、中区が急減している。中区が減少したため、結果的に北区が上回ったという見方もできよう。しかし、2016年の結果には、2017年2月に開所したヤマハ発動機の浜松IM事業所(北区豊岡)の出荷額は含まれていないと推測されるし、今後もスズキの浜松工場(北区都田)や第三都田地区工業用地への進出工場の稼働が期待できる。これらが本格稼働すれば、北区の製造品出荷額等はさらに増加するだろう。製造業の北区シフト効果により、浜松市が製造品出荷額等で県内トップに返り咲く可能性は高い。

ものづくり集積地の北区シフトの影響は製造業以外にも及ぶ。都田方面への通勤渋滞は、現時点でも慢性化しており、今後はさらに深刻化するだろう。交通量の変化は、小売・飲食・サービス業の立地政策にも影響を及ぼす。勤務地の近くに住むニーズも高まってくる。影響はプラスマイナス両面あるが、プラスの影響はそのままビジネスチャンスに、マイナスの影響も課題解決のための新たなビジネスチャンスにつながる。製造品出荷額等の推移に限らず、世の中は常に変化している。変化を機敏に捉え自社のチャンスにすることが重要だ。

 

図表:浜松市の製造品出荷額等 中区と北区の比較 (単位百万円)
出所:経済産業省「工業統計調査」をもとにしんきん経済研究所作成

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