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人手不足、進行中

2018年12月6日

年々、人手不足が深刻化してきている。当研究所が3カ月ごとに取りまとめる「景況レポート」においても人手不足に関するコメントが明らかに増えており、「人手が足らず仕事を断っている」「採用の募集をしても人が集まらない」「新たに採用しても、すぐに辞めてしまう」など、当地域の企業経営者においても頭を悩ます問題となっている。

調査対象企業約7百社のうち、「人手不足」を経営上の問題点として挙げる企業の割合を産業別に時系列で表したものが次のグラフである。直近の2018年9月調査において、自動車関連製造業と建設業では47%が経営上の問題点に人手不足を挙げており、約半数が人手不足の状況にある。時系列でみると、自動車関連製造業と製造業全体では、2014年に入ってから人手不足の回答割合が増加傾向にある。一方で、建設業においてはすでに2012年あたりから、また小売業では2013年あたりから、人手不足が顕在化していることが分かる。つまり、近年の人手不足の兆候は5年以上前から見られた訳である。

今後の人手不足の対策としては、女性やシニア、外国人などの人材を適材適所、適時に活用していくことが重要になるが、AIやRPA(ロボットによる業務効率化)などの技術活用、省人化や作業効率化のためのロボット・設備導入による生産性向上なども対策として考えられる。大企業と比べるとどうしても中小企業の人手不足が深刻だが、中小企業だからできるきめ細やかな職場環境もあるはずだ。人手不足が進行するなか、人手不足に積極的に対応し、社員に「働きたい」と思われる企業づくりが、今後ますます求められるだろう。

図表:人手不足が経営上の問題となっている中小企業の割合

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