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強まる業種別人手不足感

2019年5月16日

しんきん経済研究所が行っている中小企業景気動向調査の中で、人手の過不足感についても調べている。直近調査(2019年3月)と現在の景気がスタートした6年前(2013年3月)の調査を業種別に比較したものが、業種別人手DIグラフである。人手DI(指数)は、「人手過剰」の回答割合から「人手不足」の回答割合を引いて算出している。指数がプラス水準なら人手が過剰、マイナス水準なら人手が不足していることを示している。

6年前の調査を見てみると、製造業・卸売業がプラス水準で、サービス業を除き、小売業・建設業・不動産業は軽微な人手不足であった。経営上の問題点でも「売上の停滞・減少」をあげる割合が多く、人手不足感は全体的に低かったと思われる。

しかし、直近調査では、6業種すべてでマイナスが拡大している。最も人手不足感が強い業種は、建設業である。調査のコメントでも、民間工事・公共工事が順調に推移しているほか、オリンピック特需や消費増税前の駆け込み需要に対応していくなどの前向きなコメントも多くみられる。次いで人手不足感が強いのは、サービス業である。サービス業は、6年前の調査でも人手が不足気味であった。ここ2〜3年の景気の回復に伴い、6年前と同程度の不足感があると言えよう。製造業においても、人手DIが−20から−30台で推移しており、人手不足感が強い。経営上の問題点でも「人手不足」がトップになっている。

このように、業種別人手不足感が強まっている中、中小企業は知恵を絞っている。定年制を設けず、10代から90代までの4世代が活躍するパイプ部品製造会社がある。また、毎年普通高校から女性を安定的に採用し、全社員の半分が女子社員である精密金属部品加工会社もある。知恵と工夫次第で、人手不足というピンチをチャンスに変えることができる。

図表:業種別人手DI比較
出所 しんきん経済研究所(景況レポート)

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