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リアル書店の減少

2019年10月3日

仕事(学校)帰りや待合わせの合間に立ち寄った街の書店、そこでふと手にした本との出会いがその後の人生を左右したという人達も少なくないだろう。近年、そうした駅前や街のリアル書店(実際に書籍や雑誌を並べて販売している書店)が減少傾向にある。

下のグラフは書籍・文房具小売業の事業所数の推移を表したものである。平成19年と平成28年の比較をみると、この9年間で浜松市では46先、本の街といわれる神保町がある東京都千代田区でも187先が減少、全国でみても4.8万先から約2万先が減少している。ネット書店(インターネット上にある書店)や電子書籍の普及、コンビニの進出等により、いわゆる「街の本屋さん」から「有名書店」までの多くが廃業に追い込まれている状況にある。ネット書店は、わざわざ欲しい本を求めて書店に行かずとも、欲しい本を検索し、注文すれば送料無料で翌日には手元に届くという利便性がある。ちょっとした雑誌であればコンビニで購入できるし、コミック誌等は電子書籍で読み放題という時代になった。

こうした中、青森県八戸市では、書店を活かすことによる地域の活性化に取り組んでいる。同市も9年間で34先が減少したが、平成28年には自治体直営の書店をオープンさせるなど、「市民が良い本と出合う場所の創出」「文化の香り高い街づくり」を行政と書店が一体となって行っている。このほか、全国の書店でもカフェとの併設や講演会・ライブなどのイベント実施など、従来のリアル書店とは様変わりし、まさにモノ消費からコト消費への変化に対応しようとしている。

経営的な問題は確かにあるものの、リアル書店には思いがけない本との出会いや子供たちが本に触れる機会の創出など、ネット書店や電子書籍では得ることのできない大切なものもある。浜松市においても、地域活性化の一環として、書店の存在価値を見直す必要があるのではないだろうか。

図表:書店数の推移
出所 商業統計を基に研究所加工作成

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