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製造品出荷額等、増加するも全国順位は変わらず
2019年10月17日
経済産業省が毎年公表している工業統計調査によると、2017年における浜松市の製造品出荷額等(以下、出荷額)は1兆9,500億円であった。前年2016年との比較では1,464億円の増加となり、4年ぶりに増加した。静岡県内市町村別では、出荷額のトップは静岡市の1兆9,790億円で、静岡市を290億円下回った浜松市は2年連続の2位であった。県西部地域は前年比1,178億円増加の7兆1,956億円。浜松と袋井、掛川、菊川が前年比で増加したが、一方で磐田と湖西、御前崎、森町は前年と比べ減少となった。
全国の市町村別で出荷額の順位をみると、出荷額の多い順で2017年の浜松市は前年と同じ24位となった(2016年の速報ベースでは23位だったが、確報では24位に順位を落とした)。出荷額自体は2016年比で増加したものの、他の地域でも出荷額を増やしたため、浜松市が順位を上げるには至らなかった。
製造品出荷額等から原材料等を差し引いた粗付加価値額(以下、付加価値額)をみると、浜松市の付加価値額は前年比639億円増の7,779億円となった。付加価値額の多い順で市町村別の全国順位をみると、浜松市は16位であった。出荷額の順位と比べると、付加価値額は順位が上位にある。
浜松市が工業都市としての国内知名度を維持するためには、ある程度の出荷額のボリュームは必要だと思われるが、海外での現地生産や外国企業との価格競争により、出荷額をこれからも増やしていくことはそうそう望めそうもない。それよりも今後は次世代自動車や航空関連、医療、その他の成長分野など、高付加価値の製品を開発していくことが重要だろう。製品だけでなく定期サービスを付帯したパッケージ、BtoCへの展開も期待される。地域全体としても、高い利益を生み出す企業を増やすべく、企業間どうしで相乗効果が見込まれるような地域経済振興策も必要だろう。各支援機関や地域金融機関なども大いに有効活用したい。
出所 経済産業省「工業統計調査」「経済センサス」を基に研究所加工作成