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「地産地消」応援消費

2021年4月1日

政令指定都市浜松。浜松市には、日本で初めて開発された技術や工業製品があり、自動車、三大楽器、二輪自動車の工場もあることから、ものづくりが盛んな工業のまちのイメージが強い。しかし、市町村別農業産出額をみると、浜松市は、全国有数の農業が盛んなまちでもある。

2017年度、静岡県市町村別農業産出額(推計)によると、浜松市の農業産出額は512億円で、2位の富士宮市222億円を大きく引き離し静岡県で1位となっている。また、全国規模で見てみると、2017年度総農業産出額では千葉県旭市に次ぐ全国第7位となっており、部門別では果実1位、野菜2位となっている。農業が盛んなまち浜松市も近年農家戸数は減少傾向にある。浜松市の年別農家戸数の推移を見てみると、1995年には17,728戸であったが、2015年には11,954戸まで減少した。浜松市では農業振興を図るため、特産品みかんのブランド化、やらまいか認定農業商品登録などで支援しているが、安価輸入農作物の存在、農家の後継者不足、農地の宅地開発などで、浜松市農業を取り巻く環境は年々厳しくなってきている。

更に、新型コロナ感染拡大が浜松市の農業に深刻な影響を与えている。外出自粛や取引先の時短営業により、外食業者、学校給食、小売業者に直接販売している業務用農作物生産農家が特に被害を受けている。需要の喪失分を家庭用や加工用としたり、インターネットを使ったオンライン販売、直売所への販売で活路を見出そうとしているが、販路の縮小を埋め切れるまでには至っていない。Go toキャンペーンで回復基調にあった需要も新型コロナ感染再拡大が冷や水をかけることとなってしまった。

地元農家を応援するため、日々の買い物の選択で、地元産農作物を優先的に選択するようにしたらどうだろうか。地元産農作物を意識して買うことで、地元農業を支える力になることができる。また、「地産地消」は、消費者にとっても、新鮮で、割安な農作物を、安心できる身近な場所から得ることができるメリットがある。「地産地消」を心掛け地元農業を応援していきたい。

図表 浜松市の農家戸数の推移
出所:浜松市役所資料をしんきん経済研究所で加工

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