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900円台に突入した静岡県の最低賃金

2021年11月18日

静岡県の最低賃金は、コロナ禍で据え置かれた昨年を除き、ここ数年間は毎年25円前後の大幅な上昇が続いている。今年もコロナ禍の最中ではあるが、2年ぶりに引き上げられ、最低賃金は913円と、ついに900円台に突入した。

最低賃金が600円台だった頃は、最低賃金は文字通り“最低の時間給”であり、実際の求人時給イコール最低賃金の企業は少なかった。ところが、手元にあるアルバイト求人情報誌をみてみると、最低賃金付近で募集している企業は少なからずある。これら企業は最低賃金が引き上げられるたびに賃上げが必要となろう。一方、数年前までは800〜900円程度が相場と思われていた職種で、1000円を超える時給を提示している募集も当たり前になってきた。人手不足が恒常化するなか、最低賃金と関係なく、時給を引き上げざるを得ない状況がうかがえる。

業種によっては、コロナ禍の影響で採用を抑えている企業も多いだろう。それら企業は、停滞している経済活動が再開されれば、売上回復も期待できる。しかし、経済活動再開に伴い人手を確保しようとしても、すぐには人は集まらないし、採算が合わない賃金でしか人を集められない懸念が残る。

コロナ禍でも、最低賃金が引き上げられるのだから、今後も人件費は上昇していく前提で経営をしていく必要がある。人件費は費用ではなく、価値を生み出す源泉と捉え、人材育成をすることが重要だ。さらには、デジタルを活用して、人手をかけずに売上増加・業務効率化を図ることも必要といえよう。

 

図表 静岡県の最低賃金の推移
出所:静岡労働局資料をもとにしんきん経済研究所作成

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