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深刻化する親の介護

2022年1月20日

少し前までは、定年年齢である60歳で仕事から離れる人が多かった。しかし、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正され、高年齢者雇用確保措置が義務づけられてから、多くの人が65歳まで働くようになった。

働く期間が長くなることで何か問題となることは無いだろうか。定年間際になれば、大半の親は80歳代後半以上となり、親の介護の問題が出てくる。浜松市の要支援者数、要介護者数の合計である要介護認定者数は2015年度、34,989人だったが、年々増加し、2019年度は38,753人となった。

要介護認定者数の増加に伴い、老人介護施設への入所希望者は増えたが、介護保険制度の改正により一定以上の所得の人は自己負担割合が1割から2割または3割に引き上げられたため、入所を諦めた人も多い。自宅で家族に介護してもらう人のうち約3割の要介護認定者が自宅で仕事を持つ子供の介護を受けている。親の介護のため仕事を続けることができず離職した人もいる。

少子高齢化の進展で、介護する家族が減り、介護する期間も長くなり介護負担は増えている。親の介護問題は早急に解決すべき喫緊の課題となっている。解決には親の介護をしている社員に介護休暇を与えるなど企業側の支援も必要となってくる。浜松市も介護問題の課題解決に向け、「はままつ友愛の高齢者プラン」を策定し支援している。

介護問題の解決には、行政や企業だけでなく、ボランテイア団体やNPO法人、自治会等を含めた地域で生活支援提供体制を構築し、要介護認定者を支えていくことが大切となる。

図表 浜松市の要介護認定者数の推移
出所:浜松市役所公開資料をもとにしんきん経済研究所で加工

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