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関心高まる再エネの使用

2022年2月3日

太陽光発電による売電が日本で制度的に始まったのは2009年、その年の住宅向けの買取価格は10年間固定の48円/kwhであった。その後も高価格の買取価格が続き、2012年の固定価格買取制度がスタートすると、太陽光発電の設置が急速に進んだ。事業用の買取期間は20年のため、事業者向けではまだ買取期間は終了を迎えていないが、住宅向けにおいては2009〜11年の契約者は既に買取期間が終了しており、来年には2012年の契約者の買取期間が終了を迎える。買取期間の終了後は再度売電するか、自家消費を選択することとなり、2012年時に42円だった買取価格は、再度売電する場合には直近で10円前後へと下がる。プランで異なるが中部電力におけるファミリー向けの基本的な使用料金は現在21円〜であるため(とくとくプラン)、可能であれば売電よりも消費した方が経済的だ。

浜松市が昨年3千名に実施した市民アンケートの「家庭において再生可能エネルギーを使用することへの関心」については、「関心がある」が50.6%となり、半数を上回った。過去との比較においても関心がある割合は年々高まっている。関心がある理由としては、環境にやさしい、災害時の使用が上位にあがる。もちろん利用料金が安価であることも理由の一つとなっている。

現状、共働き世帯であれば日中は電力をそれほど必要としないため、太陽光による電力の使い道は売電の選択が多いと思われ、捨てるよりは買取価格が安くても買取会社に買ってもらった方がよい。しかしながら、今後、電気もガソリンのような値上がりや災害への懸念が強まるようなら、今は高額だが蓄電池も購入の検討対象となろう。また、日本の電力構成は現状、LNGや石炭が多いため、今後の脱炭素の流れによってはクリーンな太陽光発電をめぐり、個人の余剰電力の争奪戦が起きるかもしれない。今後の国内におけるカーボンニュートラルの制度設計が注視される。

図表 家庭での再生可能エネルギーの使用について
出所:浜松市民アンケート

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