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中小企業のDXは進んでいるか?

2022年3月3日

当研究所が昨年9月に実施した、「静岡県西部地域の中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み状況の実態調査」によると、DXに取り組んでいるかどうか、または、取り組みの希望については、「すでに取り組んでいる(8.1%)」「今後取り組みたい(30.7%)」の合計が約40%となった。逆に、「今のところ取り組むつもりはない」が約60%あった。取り組み状況としては、すでに取り組んでいる中小企業は少なく、本格的な取り組みはこれらからであった。

では、DXに関して取り組んでいる(取り組みたい)分野は何か。「労務(勤怠等)」が44.0%と最も多く、「販売促進」が38.7%、「経理」が37.0%となった。まずは、日々の業務など身近なところからDXに取り組んでいる(取り組みたい)ことがわかる。中小企業の中には、ホームページやインスタグラムを活用し集客を図っている店もある。繁盛店では、客待ちシステムを導入して、顧客満足度を上げている。製造業でも、生産管理にDXを導入し、全社的に効率化を図っている中小企業もある。

つまり、いきなり高額なIT投資を行う必要はないということである。クラウド化等の活用で、自社に見合った導入コスト・ランニングコストで行い、効果を検証している。まずは、自社の課題と思われる部分からIT化を図って行くことが大切である。少しずつやることで、現場の抵抗も減らせるし、万が一DX化につまづいたときに、原因を把握しやすくなる効果もある。

コロナ禍は、我々の行動様式に、様々な変革を迫ってきた。外出自粛により、テレワークが導入され、社内のITインフラを整備したり、就業規則等を迅速に変更して、コロナ禍の環境変化に対応してきた。コロナ禍はピンチではあるが、変革のチャンスでもある。変化に迅速に対応し続け、ITシステムのみならず企業文化(固定概念)を変革することがDXの本質でもあり、中小企業が今後目指すべき方向性だと思われる。

図表 DXに関して取り組んでいる(取り組みたい)分野
出所:しんきん経済研究所「静岡県西部地域の中小企業のDXの取り組み状況の実態調査」

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