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脱炭素経営に取り組む町工場

2022年3月31日

弊所ではロシアのウクライナ侵攻に伴う緊急アンケートを3月8日から9日まで実施いたしました。
コメントとして原油高の高騰懸念が複数あり、非資源国である日本の脆弱性が改めて問われております。
2月25日発刊の「しんきんパートナーVol.57」で特集とした「カーボンニュートラル(CO2排出ゼロ・脱炭素)」の記事の中で、敷地内に井戸を掘り16℃の安定した水温の地下水を社屋内に循環させ冷暖房コストを大幅に削減した事例を紹介させていただきました。地下水を工場や社屋の温度調整のため活用する事例は、特集記事以外の事業者も取り組んでおり太陽光発電以外の省エネへの可能性を感じさせます。また、工場の西側ガラス面に遮熱塗料を塗布し省エネ化に取り組み、さらに「カーボンオフセット証明書1,700kgCO2≒温暖化抑制への貢献証明書」を取得した事例も取材先でお聞きしました。

一方、2月9日にオンラインで実施した「カーボンニュートラル・脱炭素セミナー」において、講師の説明にあった中小企業の脱炭素経営の事例の中から、今回従業員27名の川崎市の板金加工事業者である日崎工業株式会社の取組内容を改めて紹介いたします。

現代表者は東日本大震災の原発事故の状況を自ら現地で確認し、約6年前から自社工場の省エネ・再エネ化を推進することを決断し、段階を追って考えられる省エネ・再エネ対策に順次取組んでおります。

省エネ化として工場・事務所の照明のLED化、工場屋根への遮熱塗装、省エネ型加工機導入、電力デマンド監視装置の導入を実施。再エネ化として太陽光発電、蓄電池、電気自動車を購入。

これらの取り組みにより、電気購入量はピーク時278,000Kwhから130,000Kwhと53%削減し、CO2排出量もピーク時172トンから81トンと52%の大幅削減と大きな成果をあげています。資料から逆算した電気料金も年間756万円から351万円と減少し、省エネ設備購入のコストが吸収できております。

脱炭素経営に対し、「何を(から)取り組んでいいかわからない」とする事業者も多い中、本事例はできることから地道に取り組むことで効果を出しており、最近では太陽光パネルを搭載したトレーラーハウスやキッチンカー等、自社商品の開発に取り組むなど事業範囲を拡大しております。

この事例の出典は、関東経済局HP「カーボンニュートラルセミナー」に掲載されているため、興味のある方は下記URLよりご参照願います。

URL:https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/ene_koho/ondanka/cn_seminar2021.html

図表 日崎工業(株) 脱炭素に関する削減効果
出所:関東経済局「カーボンニュートラルセミナー」資料より作成

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