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新しい森林都市浜松

2022年6月2日

2007年4月に政令指定都市として浜松市がスタートしてから15年が経過した。ご存知の通り、浜松市の市域は政令指定都市の中では最も広い。そして下のグラフのように総面積1,558km2のうち約65%は山林が占め、市街地等の割合は27%程度に過ぎないという特徴を持つ。面積だけを見れば浜松市が「森林都市」でもあることは間違いない。静岡市もほぼ同様の割合であるが、浜松市の場合は平成の市町村合併によって誕生した「新しい森林都市」なのである。

森林産業の衰退が言われて久しく、関連産業への従事者数も減少しているので、森林については話題に上ることが少なく、明るい話題も少なかった。ところがここ数年、自然や森林に対する関心がにわかに高まってきたようだ。

それはコロナ禍でも密にならずに楽しめる点が見直され、浜松市出身の漫画家が描いた『ゆるきゃん△』の大ヒットなども契機となり、大自然のもとで自分の時間を大切にするアウトドアに人気が集まっていることから見てとれる。森林が単に木質資源を産出する場としてだけではなく、レクリエーションや自己実現のインフラとしてこれまでにない脚光を集め始めており、新しいライフスタイルを形成しつつあるとも言えよう。

これまでも森林は水源の涵養、保水による土砂災害防止、生物多様性の保全などのため維持管理の必要性が叫ばれてきたが、今日的なテーマとしてカーボンニュートラルの目標達成にも重要な役割を担っている。折しも今年は『静岡県森林共生基本計画』のスタート年度にあたる。他の都市に類を見ない豊かな森林資源を保有する政令指定都市の貴重な財産として、官民をあげて森林の新しい利活用を開発・発展させてほしいものだ。

図表 政令指定都市の面積と用途
出所:農林水産省『わがマチわがムラ ー 市町村の姿 ー』 を基にしんきん経済研究所が作成(比較は2000年以降に指定された8都市)

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