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豊かな「浜名湖」の復活に期待

2022年7月7日

浜名湖を代表する海産物であるアサリの漁獲量減少が止まらない。2016年は漁獲量が1,901トンあったが、年々減少し、2019年は872トン、2020年は707トン2021年には100トンにまで減少した。アサリ漁獲量の減少は、浜名湖だけでなく全国的な傾向で、2016年と2020年との比較で、国産アサリ漁獲量は約51%減少した。しかし、浜名湖産アサリの減少はより深刻で、全国より12ポイント高い63%減少した。

浜名湖のアサリ漁獲量が減少した原因はまだはっきりとは特定されていないが、浜名湖の水温や塩分濃度の上昇、生態系を支える水草の減少、エサとなるプランクトンの減少、クロダイなどによる食害、アサリの稚貝や幼虫の大量死などが原因として考えられている。

漁獲量減少が続く浜名湖産アサリを増やすことはできないだろうか。浜名湖産アサリは、漁業者にとっては重要な漁業資源であり、潮干狩りは観光事業者にとって集客が期待できる貴重なイベントとなっている。浜名湖産アサリの経済効果は、宿泊などの観光を含めるとおおよそ100億円と言われており、浜松地域全体の宝となっている。

浜松市では、浜名湖産アサリの漁獲量を復活させるため、光のスペシャリスト企業である浜松ホトニクス株式会社と漁協がタッグを組み、光の技術を活かして栄養価の高い植物プランクトンを培養し、アサリを養殖する実証実験を始めている。アサリのエサになる栄養価の高いプランクトンを必要な量だけ培養できれは浜名湖産アサリの漁獲量を増加させることが期待できる。浜松市の光・電子技術を結集し、産・学・官・民が連携して浜名湖産アサリを増やし、1日でも早く再び潮干狩りができる日が来ることを願っている。

図表 浜名湖産アサリ漁獲量
出所:静岡県水産・海洋技術研究所浜名湖分場の資料をもとに加工作成

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