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相続登記の義務化

2022年7月21日

土地や建物を相続したときに行う不動産の名義変更「相続登記」。現在は任意の手続きだが、2024年4月をめどに義務化されることになった。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知ってから3年以内に登記しなければならないと規定し、違反には10万円以下の過料を科すこととなった。

今回の義務化の背景には、所有者不明の土地が増えていることがある。2017年の国土交通省の調査によると、不動産登記簿を見ても所有者が誰であるかすぐには分からない土地や、土地所有者は判明するが、所在が分からず連絡がつかない土地(所有者不明土地)が全体の22%も占めることが判明した。さらに、所有者不明土地の発生原因の66%が、相続登記の未了であることも分かった。相続登記の未了をこれ以上発生させないためには、相続発生時(死亡時)に手続きをしっかりする必要がある。

では、相続登記の原因でもある相続は、浜松市で年間どの程度発生しているのだろうか。下図のグラフは、浜松市における年間相続発生件数(相続は死亡によって開始されるため、年間死亡者数を以って相続発生件数と仮定する)の推移を示している。ここ3年では、毎年8,500件前後の相続が発生している。また、2011年と2021年を比較すると、20.3%相続が増加している。団塊の世代が70歳半ばとなり、今後も相続は増えてくると思われ、それに伴い相続登記が必要なケースも増加すると推測される。相続を市場と捉えれば、今後ますます拡大する市場であり、ビジネスチャンスも多くなると思われる。

一方、いざ相続が発生すると、四十九日などの法要が続く中で、相続人の特定、遺産分割協議、金融機関での預金払出手続き、相続税が発生する場合は10カ月以内に納税など煩雑な手続きが多いため、相続登記は後回しになりがちである。長期間登記していない土地や相続発生時に相続登記がからむ場合は、登記の専門家である司法書士に相談することが肝要である。お盆やお正月など親戚が集まる機会に、相続登記が未了の物件がないか、今一度調べてみてはいかがだろうか?

図表 浜松市の年間相続発生件数(年間死亡者数と仮定)の推移
出所:浜松市推計人口表をもとにしんきん経済研究所作成

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