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静岡県の最低賃金

2022年10月20日

静岡県の最低賃金は、コロナ禍で据え置かれた2020年を除くとここ数年間は毎年25円前後の大幅な上昇が続いている。

2022年の最低賃金は10月5日より31円上昇の944円となり、2021年の28円に続き、過去最大の上げ幅となった。コロナ禍の影響が薄れてきたことや物価の上昇傾向から、今年も積極的な最低賃金の引き上げがおこなわれた。政府はできるだけ早期に全国加重平均が1,000円以上になることを目指しているため、今後も上昇は続くと予想される。2022年10月現在で1,000円を超えているのは東京都、神奈川県、大阪府の3都府県のみで、近隣では、愛知県986円、長野県908円、山梨県898円となっている。

時給が31円引き上げられると、1日8時間労働で20日間勤務している場合1人当たり月5,000円程度の増加となる。労働者にとっては有り難いことだが、会社の負担はその分増える。場合によっては従業員数や雇用時間の見直しが必要となる可能性がでてくる。さらに、周囲の企業も一律に賃金を上げていけば時給の差別化が難しくなり、採用における競争力が低下する。良い人材を確保するためにはさらにコストをかけなければいけなくなるという悪循環に陥る可能性がある。

今後も人件費は上昇していく前提で経営をしていくためには、人件費を費用ではなく、価値を生み出す源泉と捉え、人材育成をすることが重要だ。また、人件費の増加を補うために売上増加・業務効率の改善を図る際には、賃金を一定額以上引き上げたうえで生産性向上の設備投資をすることで利用できる「業務改善助成金」の活用を検討することも有効だ。

図表 静岡県の最低賃金
出典:静岡労働局資料をもとにしんきん経済研究所作成

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