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大河ドラマ放送翌年も大事

2022年11月3日

来年1月から大河ドラマ「どうする 家康」が放送される。2017年、同じ浜松地域を舞台とした「おんな城主 直虎」が放送された年は多くの観光客が訪れた。放送前年の観光入込客数を100とした場合、放送年は108に上昇し、静岡県も102に上昇した。

しかし、「おんな城主 直虎」放送翌年の浜松市の観光入込客数は、放送前年を下回る96に低下した。

静岡県は放送前年と同じ100であった。2018年の鹿児島県も浜松市と同じように放送年104に上昇したが、放送翌年は98に低下した。多くの大河ドラマの舞台となった地域が放送翌年は大河効果が消えている。しかし、2015年の山口県のように放送翌年112と放送年105を上回った地域もある。山口県が行った取り組みを見てみると、地域独自の貴重な体験施設や、名物となる食べ物の情報を積極的に発信し、大河ドラマ放送年に訪れてくれた人が地域のファンになってもらうことに主眼を置いた施策を行っていた。

浜松市にも、浜名湖のウォータードライビングなど様々なアクティビティ施設があり、幻の希少食材である浜名湖産ドーマン蟹など魅力的な食材も豊富にある。

コロナ禍で旅行形態が変化し、マイクロツーリズムや少人数での旅行が主体となっている現状では以前のように観光入込客数を増やすことは難しい。放送年に大幅な増加を目指すのではなく、訪れてくれた人の満足度を高め、リピーターを増やす取り組みが重要となる。それには、浜松市の特色や観光地としての魅力を積極的にPRしていくとともに、大河ドラマ放送年のイベントだけでなく、翌年以降も新たなイベントを地域一体で実施し、持続性のある観光入込客増加施策を行っていくことが重要である。

図表 観光入込客数の推移
出所:浜松市の観光入込客数については、静岡県観光交流局観光政策課資料より静岡県、山口県、長野県、鹿児島県については、観光庁統計資料をもとにしんきん経済研究所にて加工作成

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