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幸福度ランキング1位に返り咲き

2022年11月17日

一般財団法人日本総合研究所が発表した全国20政令指定都市の幸福度ランキング2022年度版で浜松市が総合ランキング1位に返り咲いた。このランキングは、「人口増加率」などの7つの基本指標に加え、健康・文化・仕事・生活・教育の5分野47指標で評価され、総合点で順位が決まる。

浜松市の強みは、健康分野(体育・スポーツ施設数など)と生活分野(持ち家比率など)が20政令都市中2位と高順位で、健全な市民生活を送ることができる環境が整っていることである。また、「財政健全度」や「勤労者世帯可処分所得」など自治体としての基本的なポテンシャルも高く、総合ランキングでトップとなった。ここ4回の順位も1位か2位で安定しており、毎回さいたま市とトップを競い合っている格好だ。一方、さいたま市は「勤労者世帯可処分所得」「人口増加率」が高順位であり、人口に裏付けされた安定した都市基盤を維持していることがうかがえる。

では、浜松市には弱みはないのか?まず、「人口増加率」が挙げられる。浜松市は△0.9%で減少傾向にある。さいたま市は4.8%と増加しており、都心のベットタウンとしての存在感を示している。また、浜松市は、教育分野が「大学進学率」の低さなどが響き11位にとどまっている。浜松の「大学進学率」は50.7%であり、ライバルのさいたま市(67.3%)と15%以上の差がある。浜松市においては、進学できる地元の大学の少なさや製造業を中心とする高卒者の就職率の高さなどが影響していると考えられる。

このように、浜松市が総合1位で都市のポテンシャルが高いのは喜ばしいことだが、幸福度ランキングにおいて重要なのは、順位そのものではなく、その数字の裏に隠れた背景やそれぞれの地域の強み・弱みを理解することである。その意味では、幸福度ランキングは都市の幸福度診断とも言える。今後は、強みをさらに伸ばすと同時に、数字には表れない豊かさなどの価値観も高め、より市民が実感をもてる幸福度を実現させることが大切だ。その具体的なアクションの中に新たなビジネスチャンスが生まれるのではないだろうか。

図表 政令指定都市の幸福度ランキング
出所:浜松市のプレスリリースをもとにしんきん経済研究所作成

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