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EV車と充電ステーション

2023年1月19日

静岡県がまとめている県内の自動車保有台数(毎年4月1日が基準)によると、浜松市内の電気自動車(軽自動車を除くEV車+PHEV車の合計)は年々増加しており、2017年の1,274台から2022年には913台増加の2,187台となった。EV車への関心は高まっているが、電気自動車のシェアは0.73%とまだまだ低い。販売台数ベースでみても、11月の新車販売に占めるEV比率が25%の中国や20%のドイツと比べると日本は2%にとどまる。要因として「充電ステーション」の数や場所が影響していると思われる。

浜松市の「充電ステーション」は2022年12月現在で131地点であるが、その半数以上がカーディーラーやモータースで73地点(55.7%)となっている。カーディーラーは気兼ねなく多くの人に利用してほしいと思っているが、利用者は購入先もしくは同じメーカーのEV車でなければ利用するのに気が引ける。次に多いのはスーパーやドラッグストアー等で17地点(13.0%)となっており、2割にも満たない状況だ。

EV車を普及させるためには、「ガス欠」ならぬ「電欠」を心配することなく走行できるインフラ整備を行うことが必要である。車が普及した背景には気軽に立ち寄れるガソリンスタンドの存在が寄与していた。そのことからも充電ステーション事業が商売として成り立つ仕組みを構築し、街の至るところに急速充電器を設置すればドライバーの安心感は高まるだろう。

政府は、グリーン成長戦略で掲げた「2035年までに乗用車の新車販売を電動車100%(EV、PHEV、HV、FCV)」を実現するため、高出力充電器(急速充電器)の規制緩和を行い、充電インフラの普及を加速させる方針だ。現状、200キロワット超の充電器は「変電設備」となり、厳しい規制がかかる。規制緩和で設置や運用のコストが下がれば、より一層急速充電器の普及は進むと考えられ、そうすればEV車の普及も着実に進むことだろう。

図表 浜松市のEV充電ステーションの設置場所
(出典:「電気自動車の普通・急速充電器スタンド検索」(ENECHANGE株式会社)をもとにしんきん経済研究所が加工)

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