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浜松は背広が売れない街か?

2023年2月16日

生地を選んでからボタンや裏地を組み合わせて自分仕様にオーダーメードした背広を着ると、着心地もいいので晴れやかな気分になるものである。このようなオーダー背広を仕立ててくれる街のテーラーは減少傾向にあるが、一方で紳士服大手各社がオーダー注文窓口を設けるなど主力の背広事業のテコ入れに動いている。

元々浜松は、背広が売れない街と言われてきた。製造業の街であり、制服は作業服で、通勤も自動車が多いため、背広が売れないとの理屈である。実際に、総務省の家計調査によると、2021年の浜松市の1世帯当たり年間背広購入額は、1,119円で、全国平均2,721円の半分以下であった。商業都市である静岡市の3,540円と比較しても浜松市は3分の1以下で、やはり背広が売れない街のようである。

また、背広とワイシャツとネクタイの購入合計の推移を見ると、2018年は7,000円以上購入していたが、2019年から急激に減少している。この背景には、クールビズのカジュアル化があると思われる。ここ2〜3年、働き方改革の一環で、夏場だけではなく通期でビジネスカジュアルスタイルを基本に、ドレスコード(服装規定)撤廃の動きが見られるようになった。そのため、背広・ワイシャツ・ネクタイが売れなくなったのではないか。さらに、2020年からのコロナ禍で、テレワークが定着したのも、売れない要因の一つと考えられる。

現状、行動制限のないコロナ対応で、テレワークから出勤に戻す企業も増え、冠婚葬祭を中心としたイベントも回復しつつある。今後は、物価高により支出は絞るが、一方で良いものを長く使う時代になるかもしれない。皆様も、コロナ禍で外出等が出来なかった代わりに、リベンジ消費の一環として、オーダーで背広を新調してみるのもいかがでしょうか?

図表 浜松市の1世帯当たり年間背広等購入額
(出典:総務省家計調査(2人以上の世帯)をもとにしんきん経済研究所加工作成)

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