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バイクのふるさと浜松市の創造

2023年3月2日

昨年10月に一般社団法人自動車工業会二輪車委員会が報道関係者を対象にメディアミーティングを開催した。それによると、全国的に『第12世代バイクブーム』が到来しているという。ここ数年はコロナ禍もあり、感染予防や自粛ムードで個人消費は低調であったが、バイク(排気量125CCを超えるいわゆる中型バイク)は増加しているのだ。

下記のグラフは、各年の3月末時点でのバイク登録台数の前年比増加率である。コロナ禍が本格的になってきた2019年からも浜松ナンバーのバイクは増え続けており、2021年では伸び率はさらに大きくなっている。2022年には若干、伸び率は緩やかになったものの、全国で消費の対象にバイクが選ばれた理由とは何であろうか?

同委員会によると、今回のバイクブームは以前とは少し様子が異なるらしい。『第11世代バイクブーム』までは憧れのバイクを手に入れて、さあ何をしようかと考えるのがライダーの行動であったのが、今はライフスタイルが先にあり、好きな趣味にバイクを結びつけて楽しむようになったのだと言う。言い換えると、今までのかっこいいバイクという「モノ」の所有欲を満たすための購買行動から、自分の好きなことをバイクで実現するために所有するという「コト」を成すための購買に変化してきたということだ。これには、コロナ禍での行動制限や「三密を回避する」という社会的な要請も背景にあるのだろう。どんな時でも自分らしく行動したいという欲求がバイクブームにつながったと言える。

浜松市を含む遠州地方にはバイクメーカーが本社を置き、そのサプライヤーも数多く存在する。バイクの日本国内市場が活況を呈するのは非常に喜ばしい。しかし、この良い状況をバイク関連産業だけで考えるのはもったいないのではないか?『第12世代バイクブーム』はバイクが好きであるとともに、バイクに乗ることで自己実現を図りたい人々によって支えられている。ならば、それらの人々がバイクに乗って訪れたくなるような仕掛けを作れないだろうか?

何といっても浜松市は日本のバイクづくりの発祥の地である。バイクのふるさとを名乗ることができる都市は他にはない。ライダーが来たくなるような都市を創ることでバイクの需要を喚起し、多くの人々が訪れることによってアフタコロナの街が賑わいを取り戻す。そんな経済の好循環を実現したいものだ。

図表 二輪車登録台数の前年比増加率
(出典:全国;一般社団法人自動車検査登録情報協会、浜松市;静岡県「車種別,市町別自動車保有台数」、一般社団法人自動車工業会二輪車委員会HP;「第3回自工会二輪車委員会メディアミーティング」プレゼンテーション資料)

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