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遠州の農畜産物の魅力を新経済圏でさらに発信を

2023年6月15日

遠州地域各市町の農産物にはそれぞれに特色があり主要農産物も異なっている。2021年の農林水産省統計資料から市町ごとに農産物の種類別割合をみてみると、浜松市の農業産出額は全国でも上位を占めており、そのなかで「果実・花き」の割合が44.7%と最も高く、「果実」ではみかん、「花き」ではガーベラの産出額が全国トップクラスとなっている。掛川市は日本有数の産出額を誇る茶が「その他」に含まれているため種類別割合のなかで「その他」の割合が40.8%と最も高くなった。磐田市は、「野菜」の構成比が47.1%と高く、米の産出額も多いため「その他」割合も41%と高くなっている。湖西市は豚、肉用牛、鶏の畜産が盛んで「畜産」の割合は51.8%と高かった。

遠州地域は多様な農産物が産出されており、魅力的な農産物も多いが、それを知らない人も多い。今後さらに知名度を上げていくためには、道の駅やアンテナショップなどの直売所への販売、インターネットを利用した消費者への直接販売やSNSなどの情報発信等の取り組みが必要となる。

新型コロナウイルスの感染症拡大で農産物の消費は低迷した。県が消費回復策として、山梨県と旬の農畜産物を互いに購入し両県の産品を共同で販売促進する「バイ・ふじのくに」の取り組みを始めて、2023年で4年目となる。2023年県内では、直売会が2023年6月10日から静岡市で、物産展は7月5日から同じく静岡市で開催が予定されている。また、2023年8月4日には3日間の日程で県西部では初めての物産展となる「バイ・ふじのくに静岡県、山梨県フェア」が浜松市で開催される。県は他に長野県と新潟県を新たに加えた「バイ・ヤマの州(くに)」に取り組んでいる。静岡県、山梨県、長野県、新潟県の4県が連携して新経済圏を創出し相互に助けあって販売を促進した結果、直売会などの本県産の販売額が2020年度8,900万円から2021年度は12,961万円に増加した。2022年度も増加の見通しとなっている。
新経済圏の効果で遠州の農産物の認知度がさらに高まり、新たな販路開拓に期待がかかる。消費は回復傾向だが、アフターコロナに続く持続的な取り組みにつなげることが重要だ。

 

図表 2021年農産物種類別産出額額割合
出典:農水省 経営・構造統計課「市町村別農業産出額」資料をもとにしんきん経済研究所で加工

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