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中心市街地の活性化はできるのか?

2023年7月6日

今年5月のGWに行われた松本潤さんの家康公騎馬武者行列には、多くの人出があり、久々に街のにぎわいが戻った。中心市街地のポテンシャルを示した格好だが、松潤効果の面もある。2010年以降中心市街地の活性化に向けた取り組みは、「浜松まちなかにぎわい協議会」が中心となり行ってきた。ソラモの運営や浜松まちゼミなどに一定の成果を出している。そこで、松潤効果をきっかけとして、中心市街地の活性化について、今一度考えてみたい。

中心市街地の活性化・にぎわいの指標の一つに、通行量調査がある。2022年10月時点で、調査地点28カ所の内、一番休日の歩行量が多いのは、JR浜松駅北口の25千人である。次いで遠鉄新浜松駅下18千人となっている。いずれも駅近辺に集中しており、JR浜松駅を中心に歩行量があるものの、松菱跡地・ビオラ田町横断歩道とは歩行量に差があり、回遊性は低いと言わざるを得ない。また、2020年以降はコロナにより歩行量が減少している。ましてや平日の通行量はさらに低い。

かつては、「街に行く=松菱に行く」という時代があった。しかし、無料の駐車場・全天候・ワンストップ・回遊性がある大型ショッピングモールが郊外にでき、街に行く優先順位は低下した。実際、大型ショッピングモールと戦うだけの体力は中心市街地には残っていない。さらに、中心市街地は20年以上活用が決まらない松菱跡地問題を抱えたままの状態にある。

しかしながら、中心市街地は、浜松市の顔であり、玄関口でもある。大型ショッピングモールと真正面から戦うのではなく、「歩いて回る街」を前提として再生できないだろうか。昨年4月に新川モールもオープンした。また、街にマンションの建設が進み、定住人口は増加しているのを幸いに、街の新陳代謝を促すテナントの入替を積極的に行なっていく必要もあろう。商業ビルの地下という不利な立地でも、集客を増やしているスーパーもある。街がにぎわいを取り戻すには、対処方箋的な施策だけではなく、インパクトのある「外科的手術」が必要かもしれない。

 

図表 浜松市中心市街地歩行量調査(休日)
出所:「浜松市中心市街地歩行量調査」の資料をもとにしんきん経済研究所作成

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