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食品ロスをなくそう

2023年9月7日

農林水産省の調査によると、家庭から排出される家庭ごみのうち、約4割は紙類で、約3割は厨芥ごみいわゆる台所ゴミである。そして、台所ゴミの中では水分を多く含む野菜の重量が大きいらしい。つまり、野菜を多く購入すると家庭ごみが多く排出される可能性がある。そこで全国20の政令都市の家庭ごみ排出量(市民一人当たりの1年間のごみ排出量)と野菜購入量を比較してみた。

2021年のごみ排出量の全国平均は328Kg、浜松市は25Kg少ない303Kgで少ない方から5番目であり、野菜の購入量は全国平均とほぼ同じである。ごみ排出量が最も少ない都市は京都市であるが野菜の購入量は全国平均を上回る。一方で、仙台市の野菜購入量は全国平均よりも10Kgほど少ないが、ごみ排出量は36Kgほど多い。政令指定20都市だけの比較ではあるが、一定数以上の人口規模を持ち、それぞれの地方の中核機能を持つ都市間の比較では、「野菜を購入すると家庭ごみの排出量が増える」という関係性を下記のグラフから見て取るのは難しい。

これには、都市間での食文化が違うことなど、様々な理由が考えられる。しかし、前述の農水省の調査では、台所ごみのうち3割は手つかずまたは調理したが食べずに捨てられた食品が占めているという結果もあり、いわゆる食品ロスの多寡によって、ごみ排出量の差が生じているのなら社会問題である。

「令和5年度浜松市一般廃棄物処理実施計画」でも、基本方針で「家庭ごみの削減」「食品ロスの削減」に重点が置かれている。確かに、販売(購入)さえすれば経済は循環するし生産者も流通も増収となるが、ごみが増えてしまったのでは持続的な成長が可能な社会は達成できない。購入した食品は、生産者が生産してくれた本来の意図に合うようにおいしくいただく、これが食品ロスを削減する第一歩である。

 

図表 浜松市の上位3区における製造品出荷額等の推移
出典:野菜の購入量:総務省 家計調査(2020〜2022年平均)
ごみの排出量:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(2021年度)から当研究所が作成

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