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浜松市の大学進学率の向上策

2023年10月5日

一般財団法人日本総合研究所が発表した全国20政令指定都市の幸福度ランキング2022年度版で浜松市が総合ランキング1位に返り咲いた。浜松市が、総合1位で都市のポテンシャルが高いのは非常に喜ばしいことだが、その一方で教育分野が「大学進学率」の低さなどが響き11位にとどまっている。

浜松市の、2021年3月国公私立高等学校卒業者の内、大学等へ進学した者の割合は、50.7%であった。政令指定都市20都市と比較すると、1位の京都市は74.3%であり、23.6%の差がある。同じ静岡県内の静岡市も60.9%と約10%の差がある。順位は、政令指定都市20都市中ワースト2位である。

では、なぜ浜松市の大学進学率が低いのか?第一には、進学できる地元の大学の少なさがある。40校近く大学のある京都市に比べ、浜松市には、静岡大学・静岡文化芸術大学・聖隷クリストファー大学・常葉大学・浜松医科大学・浜松学院大学しかない。第二には、製造業を中心とする中小企業が多く立地しており、高卒者の就職率の高さなどが影響していると考えられる。第三には、専門学校に通う生徒も一定数いると思われる。
もちろん、地元の高卒者が地元の中小企業に就職することは地元経済にとっては良いことでもあるが、大学進学率を上げる努力も必要であろう。

具体的には、第一に、より魅力ある大学にすることが大切である。地元の大学でも、社会に出た時に役立つ資格を取らせ、地元の企業に就職させることに成果を上げている大学もある。第二には、逆説的ではあるが、浜松の産業がさらに元気になることである。それが引いては、大学との連携推進、インターンシップへの協力、大学生(Uターンを含む)の就職の受け皿を増やすことに繋がると思われる。第三には、長い目で見て、地元大学への受験率を上げるべく、幸福度ランキング1位のアピールを強化することである。

幸福度の高い浜松に生活することが、いかに物心両面で幸せになれるかを、もっと若者にアピールすることが必要ではないだろうか。

 

図表 政令指定都市の大学進学率比較(上位3位と静岡県内)
出所:学校基本調査をもとにしんきん経済研究所作成(2021年5月現在)

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