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企業も病み上がりは気をつけよう

2023年10月19日

人々の移動に制限がなくなり、経済もやっと平時の状態に戻ってきつつあるが、帝国データバンクの速報では本年9月までの企業倒産の増加傾向から、コロナ禍前の2018-2019年の水準を視野に入れた増加が今後も続くと予想している。

2019年以降の企業倒産件数を前年同期と比較してみると、全国での倒産企業数は2019年下期からは一貫して前年の同期と比べてマイナスで推移していたが、静岡県西部では2020年と2021年には増加に転じた局面もあり、全国とは若干、異なっている。しかし、2022年上期以降は全国と同様に倒産が増加し始めた。

これには物価の高騰やコロナ禍による売上減少などが要因になっているのだろう。しかし、景気循環の中で起きることとして、昔からよく言われている「景気の回復期には企業倒産が増える」という経験則がある。これは、景気回復期に各企業の売上が増加すると増加運転資金が必要になるから、資金余力のない企業は仕事があっても倒産してしまう、ということを示しているようだ。さらに、今回の景気回復局面では人材不足によって受注に応じられないことや、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が始まり手元キャッシュに不足を生じかねないなどの事情も当てはまるのではないだろうか。

治りがけに無理をすると病気がぶり返すと言う。経済も確かな足取りとはいえないし、景気の下振れ要因も多い。今のところ、医学はコロナ禍を完全に制圧できてはいないし、インフルエンザも流行している。人も企業も病み上がりは無理せずに安全運転を守ることも大切である。

幸福度の高い浜松に生活することが、いかに物心両面で幸せになれるかを、もっと若者にアピールすることが必要ではないだろうか。

 

図表 政令指定都市の大学進学率比較(上位3位と静岡県内)
【出典】帝国データバンクHP等から当研究所が作成

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