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増加傾向のタクシー利用者へどう対応する?

2023年11月2日

2020年は、新型コロナの影響を受けて多くの業種が休業を余儀なくされた。タクシー業界も人流がストップしたことでタクシー利用者(以下、「乗車人員」という)の減少に繋がったが、最近は人流も回復し、乗車人員が増加傾向にある。

浜松市の乗車人員(浜松市タクシー協会他の合計)を1ヵ月平均で見てみると、2015年までは50万人を超えていたが、2016年に50万人を割り、2019年には45.1万人となった。2020年は新型コロナの影響を受けて前年比18.3万人減の26.8万人となり、約4割の乗車人員が減った。コロナ禍の3年間は1ヵ月平均20万人台で推移し、売上高およびドライバーの給与に影響を与えたが、2023年の乗車人員は1ヵ月平均(1月〜8月)で30万人を回復し、30.5万人となった。

足元では、5月から8月の平均が31.6万人となっており、これから忘年会シーズンに向けて乗車人員の増加が予想される。タクシー会社としてはドライバーを増員して売上を伸ばすか、現状維持で営業していくか、舵取りが難しくなっているようである。

ドライバーの募集を強化しているようだが、なかなか思うような採用ができず苦慮しているようだ。タクシーの競合として「ライドシェア」が熱を帯びてきており、普及すればドライバーの増員は足かせとなる恐れがある。人口減少と競合他社が増えることを想定したなかで、適正な車両数とドライバーの数を見極めることが重要になってくるだろう。一方で利用者は利便性を追求しているため、呼べばすぐに来てくれて安全に目的地まで運んでくれることを望んでいる。DX化を更に進め、将来的には「自動運転タクシー」の導入も考えていく必要があるのではないだろうか。

 

図表 浜松市内のタクシー乗車人員(年間の1ヵ月平均)
出所:浜松市タクシー協会他の資料をもとにしんきん経済研究所作成

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