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「2023年家計調査」を偏差値にしてみたら

2024年3月21日

毎年、2月の初旬には前年の家計調査の年次結果が公表される。そこで、今回は最新の調査結果を基に浜松市民の平均的な消費スタイルを調べてみた。
下記の図は、家計調査の大項目である「食料」、「住居」など10の調査値について全国平均をもとに偏差値で表したものである。2023年の1か月あたりの消費額で、50よりも大きい値は全国平均よりも多く消費されたことを表している。(学校で個人の試験成績が全体の中でどのようなポジションであるかを示すのと同じ手法である。)これでみると、浜松市民の各項目の消費額は概ね全国平均よりも少ないが、「住居」と「保険・医療」だけは全国平均よりも多く消費している。

持ち家の比率が高い浜松市で「住居」に関する消費が多いのはなぜだろうか?家計調査での「住居」消費は、「地代・家賃」と「設備修繕維持」に大別される。後者はさらに、プロが施工する給排水工事のような「工事その他サービス」消費と、レンガ・ベニヤ板などの材料を購入した「設備材料」消費に分けられる。実は、浜松市民はこの「設備材料」の消費額が全国で1位なのである。

浜松市民は毎月平均8,379円を「設備材料」に消費しており、これは外食に費やした同7,294円よりも1,000円以上も多い。しかも、これは材料に対する消費だから、購入した「設備材料」を家の修繕や改良のための日曜大工で使っているのだろう。浜松市に建っている住宅だけが壊れやすいはずはないので、「なぜ設備材料を買うのか?」と考えると「浜松の人はDIYが好きだから」という仮説も成り立ちそうである。もっと踏み込んで、「外でご飯を食べるよりもDIYが好き」と言ったら言い過ぎであろうか?毎年、「餃子の購入額ランキング」が耳目を集めるが、家計調査からは他にも浜松市民の特徴的な消費行動が見えてくることもある。私たちが気づいていないから眠ったままになっているビジネスチャンスを見出していくことも、まだまだ可能であると考える。

(今回の家計調査では回答者の89%が持ち家であり浜松市の実際の持ち家率よりも高いので「設備材料」がより強く表れている可能性があります。)

図表 1世帯当たり1か月間の収入と支出(総世帯)
出所:2023年家計調査『1世帯当たり1か月間の収入と支出(総世帯)』をもとにしんきん経済研究所が作成

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