リサーチニュース リサーチニュース

ホーム > しんきん経済レポート >浜松市は温暖化が進んでいるのか?

浜松市は温暖化が進んでいるのか?

2024年6月20日

明日は夏至、暦の上では夏になる。ここ数年は酷暑が続いているが、浜松市ではどのくらい温暖化が進んでいるのだろうか?

そこで、浜松市の「暑い日」の日数を調べてみた。下図は1940年代から「夏日」(最高気温が25℃以上の日)、「真夏日」(同30℃以上)、「猛暑日」(同35℃以上)の合計を「暑い日」として、10年ごとに年間平均日数を集計したものである。折れ線は「暑い日」の年間平均日数を、ボックスはそれぞれ「暑い日」の最小日数と最大日数の範囲を示している(株式相場の最高値、最安値と同じ見方)。

これを見ると、意外にもバブル期が始まる1980年代までは戦中戦後の1940年代と比較しても、あまり差異はみられない。しかし、不動産投資が熱を帯びその後の金融不安、そして1997年に温室効果ガス排出削減の京都議定書が採択される1990年代以降になると様相が変わる。「暑い日」の年間日数がだんだん増加し、2010年代には200日以上に伸びている。浜松市では1980年代に比べて夏が2か月近くも長くなったのだから、やはり気候の温暖化は進んでいるといえるだろう。

温暖化の進展の時期は、開発途上国での工業化・経済発展・人口の急激な増加の時期と重なる。一方で同じ期間の浜松市・日本では人口が減少し経済成長は鈍化した。皮肉なことに気温は上昇したが経済は加熱しなかったので「失われた30年」だともいえる。

しかし、どんな変化もビジネスチャンスである。今や浜松市は年間の60%近くが夏である熱帯都市になったのである。飲食も物販も生活サービスも服装も積極的に「熱帯」の要素を取り入れられる素地ができた。特産品では農産物は暑さに適応した品種改良・農業技術が求められるだろうし、浴衣は着られる期間が長くなった。脱炭素化のマーケットだけでなく、それ以外の分野でも変わってしまった気候に対応した新しいビジネスを見出すことができるのではないか。温暖化を進ませない熱い心と知的なエネルギーを目一杯使って地域経済を盛り上げたいものである。

図表:10年ごとにみた浜松市の「暑い日」の年間平均日数の推移(ボックスは最大・最小日数の範囲)
出所:気象庁『過去の気象データ・ダウンロード』サイトからしんきん経済研究所が作成。2020年代は2020〜2023年までの4年間を集計。

しんきん経済レポート一覧へ