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家づくりのトレンド:オーダーメイドからレディメイドへ

2024年8月19日

浜松市の住宅工事の推移をみると、コロナ禍の「ウッドショック」という一時的な要因を除けば、過去10年度(2014〜2023年度)の1年間の平均着工戸数は約5,200戸で、概ね4,600〜5,500戸の範囲内で推移している。ただし、中身をみてみるとトレンドに変化がみられる。

下図はそれを示したグラフであり、新築住宅に占める「持ち家注1」住宅の割合に低下がみられる。以前は着工される住宅の50%強が「持ち家」いわゆる注文住宅であったが、2020年代になると徐々に低下してきて23年度では40%を下回った。一方で、「分譲住宅注2」の割合は徐々に高くなってきており、30%に迫ってきている。住宅の需要がオーダーメイド住宅からレディメイド住宅へ移ってきているようにも感じられる。

注文住宅(持ち家)と建売住宅(分譲住宅)のそれぞれにメリット・デメリットがある。例えば、建築主からみれば、注文住宅は設計や材料に自由度が高い分、コストがアップする可能性がある。また、注文住宅は住宅の所有を決意してから居住できるまでの時間は分譲住宅に比較して長くなる。さらには、都市部では不動産価格も値上がりしているので、土地の確保が難しくなっている点は分譲住宅が増加する要因になってるといえよう。

このような比較の中で最も大きく作用しているポイントは「時間」ではないだろうか。特に新しく家を構える、フルタイムで働く者どうしの若いカップルにとっては、注文住宅に必要な土地の確保、家の設計、建築、引っ越しなどのプロセスに、十分な時間がかけられないのかもしれない。加えて、小さな子どもがいれば、なおさらすぐに住める分譲住宅を選択する可能性が高い。
住宅の供給にも「タイパ」が求められるようになってきたのか、今後も注目していきたい動きである。

注1:持ち家:建築主が自分で居住する目的で建築するもの。
注2:分譲住宅:建て売り又は分譲の目的で建築するもの。マンションも含まれる。
(以上、国土交通省)


出所:静岡県くらし・環境部『新設住宅着工統計』から当研究所が作成

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