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テクノロジーが拓く浜松農業の未来

2024年10月3日

静岡県は温暖な気候を活かし、お茶やみかん、いちごなどの生産が盛んである。中でも浜松市は、さまざまな地形を活かし、特色ある農産物が数多く生産されており、市町村別農業産出額(耕種)では全国5位を誇る。品目別でみると野菜と果実の割合が合わせて73%と非常に高く、産出額では野菜が全国19位、果実が4位、うちみかんは1位となっている。

しかし近年、浜松市においても、高齢化による農業生産者の減少、耕作放棄地の増加といった問題が深刻化している。60歳以上の農業従事者の割合は68%に上り、総農家数は、2010年から2020年の10年間で27%減少、経営耕地面積は18%減少している。このままでは、浜松市の農業が衰退してしまうことが懸念される。

このような状況の中、浜松市ではスマート農業を推進している。スマート農業とは、AIやドローン、ロボットなどの最新技術を活用し、農作業の効率化や精密な栽培管理を行う新たな農業の形態である。浜松市は2021年に「浜松スマート農業推進協議会」を設立し、浜松のものづくりの技術と「農業」を有機的に結び付け、スマート農業を推進するための官民連携体制を構築した。

スマート農業は、生産性向上や労働力不足解消だけでなく、農産物の品質向上や環境負荷軽減など、多角的な効果が期待されている。2022年度には、中山間地域におけるラジコン草刈機、自動運転トラクターなどの実証実験も実施されている。浜松市における官民連携の取り組みは、持続可能な農業の実現に向けた重要な一歩であり、全国の農業が抱える課題解決への道筋を示すものとなる可能性がある。

農業産出額(耕種)の割合
出所:市町村別農業産出額(推計)からしんきん経済研究所が作成。

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